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「真珠の耳飾りの少女」はスローモーション

この絵が描かれたのが1665年。オランダが最も勢いがあった黄金の時代です。芸術も開花します。その一人がフェルメールでした。「牛乳を注ぐ女」「士官と笑う女」など動きがあるものが思い浮かびます。

ヨーロッパの国で世界へいちはやく進出し、扉を開いていったオランダを体現しているかのような動きのあるマスターピースたち。

「真珠の耳飾りの少女」は少し動きが違っていました。

ゆっくりとこちらを向いてくる。早く会いたい、お目にかかりたいと思わせるような数秒の間に人を魅了してしまう。

こちらを向いたら、無垢の「笑顔」が。囁いてくれるような濡れた口元も。耳をそばだてたい瞬間が訪れます。これは堪りません。

表情は穏やか。髪の毛は隠されています。菩薩のよう。観音様と相対している「有難い」オーラ。慈愛に満ちています。トローニーという胸から上を描いた絵なので腕は見ることはできませんが、白くて細くて「これから」の指なのでしょう。

コスチュームはオランダのものというより、東洋風な感じが。世界から持ってきた新しいファッションだったのでしょうか。フェルメールはいち早く描いています。

大きな耳飾りも、オランダの隆盛をイメージさせるものとしてのチョイスだったのでしょうか。謎は尽きません。

この少女がやがて大人になり、やがて熟女に。そのときにも会ってみたいのは私だけでしょうか。そのときはできれば「トローニー」ではなく。ではまた。

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