30年ほど前ですが、恵比寿に香月という行列のラーメン屋さんがありましてよくお邪魔しました。背脂のスープが醤油らーめんやみそにはない個性で何度か通わせていただいた記憶があります。
味の個性もさることながら、凄かったのはスタッフの方がすべての注文を頭に入れていたことです。
一度に10名は暗記していたようです。味の濃さ、麺のカタさ、脂の多さ、普通盛りか大盛りか。
人気店でしたので、カウンター席に座る前にあらかじめ注文をすべて聞いていきます。聞くのは一回だけですべて覚えてしまうんです。
そして、いざそのお客さんたちが席に座った時に、キッチンにいるスタッフに、順番にその注文をひとつひとつ逐次、口頭で伝えるのです。
券売機なんてありません。これを見た時にラーメン屋さんで働くのは記憶力がなきゃだめだな。そう思いました。
カウンターへひとつひとつ注文を指示をするのですが、よどみなく、朗々と詠うように。嚙むなんてことはありません。思わず聞き惚れてましたもん。あと、自分のは通っているかと耳をそばだててました。
そして、その方が食べ終わって席を立つと、はい、〇〇円、いくらですと、間髪入れずに伝える。お勘定も頭に入ってました。
暗記力はこうして使えと教わった気がしたものです。恵比寿様は商売繁盛の神様。ナットクでした。
注文を暗記した恵比寿のらーめん屋さん
