イギリスの哲学者、JSミルの「大学教育について」を読みました。英国のセントアンドルーズ大学名誉教授就任講演を本にしたものです。
彼は子供の頃から父親に自宅で3歳からギリシア語、8歳からラテン語を教わり、17歳で父の推薦で東インド会社に就職して父直属の書記を務めるというコースを歩んでいます。
多くの著作は東インド会社に勤めながら書かれたようです。
特に感銘を受けた主旨が、こちらの内容です。「道徳教育と宗教教育」のところで
・学生たちは教授の影響を受けて、この世界を自分が生まれた時よりも少しでも良いものにしてこの世を去りたいという高貴な大望を抱くようになり、生涯この気持ちを持ち続けたのであります。
また「美学・美術教育」では
・偉大なイタリアの画家たちが単に作品を公会堂の壁に描くだけだったら、あんなにも人々を感動させなかっただろう。「聖母マリア像」「キリスト降誕の図」などは崇高で想像力豊かな感情を育んでくれる教師でありました。どの職業にたずさわろうともわれわれのうちにある感受性を麻痺させることなく、注意深く見つける努力をしましょう。
「文学教育」では、
・文章は冗長であってはならない。トゥキュディデスは「戦史」でたった一段落で戦闘場面のを生き生きと再現することができた。
結びには、
教養は人生に対してますます深く、さまざまな興味をますます感じることになる。人生を十倍も価値のあるものして、生涯持ち続けられることができる価値。その価値は増大してやまないものです。と。
ああーこの講演の場面に学生で居たかった、と思いました。いや、この本に出合えたことに感謝です。
常に学ぶ姿勢はいつになっても尊いですね。それは自分の蓄積となる。財産となる。そして伝えられるものであるからですね。ありがとうございました。