townfood 国別ベルギーbook「食の本 ある料理人の読書録」稲田俊輔さん

「食の本 ある料理人の読書録」稲田俊輔さん

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エリックサウスなどを展開されている稲田さんの食に関する本のガイド本です。学生時代からの読書遍歴や食遍歴も語られています。ご紹介の本も昭和から令和まで時代を超えてチョイスされています。

読んでいて思い出したことをひとつ。

以前、ベルギーのブリュッセルに出張したことがありました。アポイントの合間にサブロン広場で会社の先輩とランチになりました。女性の先輩は小食でサンドイッチでいいわということになり、私も合わせてサンドイッチとなりました。

そこはカフェのようであり、気軽なレストラン、ビストロっていうんでしょうか。という感じでみなさん、お昼を楽しまれています。

そこにお一人、60代後半くらいの紳士がおひとり。服装もキチンと。何を食べているかとみてみると、分厚いステーキと赤ワイン。こんなお年でもステーキか。やるな。なんとも美味しそうです。

常連さんなのから。お店の雰囲気までも味わっているようでウラヤマしいことこの上なしです。

自分はいわば間に合わせのお昼。サンドイッチより、そちらが気になって気になって。先輩との会話も完全に上の空です。

そうか、ここでは肉食なんだ。昼からでも。日本のようにミニサラダとパスタやピザでそそくさと済ます。という考えはこの紳士にはありません。ゆったりとゆっくりと口に運んで、ワインをぐびっと。幸せそうです。

そうでなくちゃ。ここでは本能に正直に食べなくちゃ。欧州では生き残れない。その日の夜、前菜はムール貝にメインは鶏をチョイス。ただ、ムール貝がバケツで出てきて、おまけにサイドのフリットは山盛り。ほぼ一羽が見事にグリルされた鶏まで行くのがタイヘンでした。

ブリュッセルの食に、そのボリュームに胃袋ともども圧倒された一日を思い出しました。

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