父親は幸田露伴。父から掃除、料理など家事を14歳のころから叩き込まれた幸田文さん。お膳を考えるところからお善の出す位置まで気を配った日常。その文章を読んでいると、一緒に怒られているようでホントに切なくなります。
毎日 朝一番にお茶を書斎へ出すことがとても重要だったそうです。お茶の準備もさることながら、父の機嫌をはかって。美味しそうなお茶が入ったときはすっと部屋に入ってすっと出せたそうです。(荒川洋二さんの文章より)
おめでとうございます。良かったですね。ページに向って声をかける。拍手をしそうになり、手から本が滑ってページを閉じてしまいそう。こちらまで嬉しくなります。
幸田文さんが父・露伴から教わったことは、自らへの問いかけでもありました。。はたして満足に掃除ができているだろうか。お料理をするときに材料や包丁などの道具、火や水をどれだけの心で扱っているか。考えさせられました。
文さんを評して、遠藤周作さんは「芯が強い」「こわい」と。室生犀星さんはしたしみにくい、と。明治の男、露伴に鍛えられて。そんな女性がひとつひとつ成長しながら育ててきたお作法。明治の女性は賢くまた上品だったのだろう。
日本の掃除とは、お料理とは。心構えとは。動画サイトだけでは学べません。みなさまに一読をおすすめしたい文章たちです。令和にも残したい美学です。