最初の大戦のあとヨーロッパが幸福な時から次第に不安に包まれていく中での著作。
気になった内容を少し。
政治活動をしているという理由で、異国のポルトガルの新聞で自らを批判された主人公。周りから何かを言われるのではないかとビクビクして過ごします。友人も助けてくれません。
バスに乗るとある乗客がその新聞に眼を走らせている。困ったな。
バスの車掌に普通に声をかけられて驚き、小銭を落としてしまいます。
乗客がみんな探してくれ見つかって良かった良かったと乗客みんなが手を振ってホッとします。
でも小銭を落とさなかったら、みなが助けてくれることはなかったかも。目的地までの車内ではずっとビクビクだったに違いありません。落としたおかげで笑顔で手を振ってバスを降りることができた。
運命はどう転ぶか分からない。
ただ現実の時代は次第に暗い方へ。チャペック自身もドイツから目をつけられます。著作が活動が中傷される。
鉤十字の影が。抗えない不安の黒い雲が頭の上を覆う。
上記は「十センターヴォ玉」という作品。
ああどうなるのか。チェコよ。欧州よ。
時代に翻弄されながら、自らの身を削って表した作品でした。降りてからまっすぐ歩けたでしょうか。
心配です。著作の中で抵抗していたんですね。

